赤い刻印 - Secret Love -

「何の貸し作ったの?一沙」
「ちょっとね。ホントにごめん!」
「まあいいけどぉ。あ、そうだ!」

何かを思い出したようにポンッと両手を叩く麻美。

「絵梨のことなんだけど」
「絵梨?」

絵梨はクラスメイトでいつも一緒に行動してるうちの1人だ。

「絵梨、先生のこと好きなんだって」
「先生って?」
「やだー!村ちゃんに決まってるじゃん」

麻美の口から出た先生の名前に心臓が跳ね上がる。
絵梨は私たちのグループの中では大人しいほうだし恋愛にも奥手だ。
好きな人がいるなんて初耳だし、まさかその相手が村田先生だなんて思いもしなかった。


「そうなんだ。知らなかった」
「前から怪しいとは思ってたんだけどね。昨日カラオケで無理やり聞き出しちゃった!」