母親は絶対にこの人を逃したくないんだ。
そのために良い母親を演じてて、今日はわざわざ私に会わせたというところかな?

「今すぐ再婚しようというわけじゃないんだ。一沙ちゃんの意志を優先するし、もし一沙ちゃんが嫌なら…」
「2人が再婚したいなら私は構わないですよ」

私は精一杯の笑顔を作ってそう言う。

「そうだ!私、高校出たら一人暮らしする予定なんです。どうぞ2人で新婚生活楽しんじゃってください」
「え?あんた進路未定なんじゃ…」
「ううん。この間は言いそびれたけど、実は東京の学校に行こうと思ってるの!」
「そうなの?一沙ちゃんさえ良ければ3人で暮らしたいなと思っていたんだけど」

修二さんは少し遠慮しがちにそう言う。