「…」
「元々迷ってたんだ。だから矢沢は何も気にすることないからな」

気にするに決まってる。
元々の原因を作ったのは私なのだから。
それに先生が自分から辞めると言ったのは私を守る為でしょう?
これだけ騒ぎになっているのに、私に停学の処分すらないのは不自然だ。

『俺が全て悪いんです』
…そんな風に謝っている姿が目に浮かぶよ。
先生は1人で全てを背負おうとしているんだ。


「先生は辞める必要ない。私が辞めるから」

私の声が静かな化学室の中に響き渡る。

「は?何言ってんだ」
「先生は必要な人なんだよ。みんな先生に3年生まで見てほしいって思ってる」
「それは申し訳ないと思ってるよ」