「そんな顔しないでよ。DVなんてよくある話!」
「そんなことないだろ。大丈夫なのかよ?」
「うん。もう父親はこの世にいないしね」
「…」
「それにこのアザは私が生きてきた証なの。勲章ってやつね!」

私は無理をして精一杯の笑顔を作った。

「辛い時これを見ると励まされるんだ。あんなに辛かった時期を乗り越えられたんだからこれからだって頑張れるって」
「矢沢…」
「それより先生、白衣脱いだからビビったよ。襲われるかと思った」
「アホか。暑かっただけだ」
「ぶ~」


ちょっとだけ後悔した。
村田先生にこんな話をしたこと。
だって仲の良い友達にも言ったことがない話。

私は生まれて初めて他人(ひと)に弱みを見せたんだー。