「いいから!」

私は先生に強引に引っ張られる形で校長室を後にした。


「先生…っ!」

無言のまま足早に廊下を歩いていく先生。
私も息切れしながらもその後を追いかける。

「先生、待って」

ようやく足を止めてこっちを振り向いてくれた先生。
その表情はいつもと違って全く余裕がない。

「矢沢は教室に戻ってろ」
「でも…。今戻りにくいよ」
「そりゃそうだろうけど」

今頃、教室はどうなってるんだろう?
きっと私たちの話題で大変なことになってるはずだ。

「廊下で話してるとまた面倒なことになるな」
「えっ?」

いつの間にか私たちは化学室の前まで来ていた。
先生はキョロキョロと周囲を確認してから中に入り、私にも教室の中に入るよう合図してきた。