「矢沢さん。あなたは出てなさい」

山田先生が私の腕を掴んで校長室の外に連れ出そうとする。
でもここで引き下がるわけにはいかないのだ。

「先生の家に一方的に押しかけたのも私で…。だから先生を辞めさせないでください」
「矢沢さん！」

山田先生に抑えられながらも必死でそう訴える。
そんな様子を見ていた校長先生が立ち上がってこっちへ向かってきた。

「あなたが矢沢さん？とりあえず教室に戻りなさい」
「でもっ…」
「村田先生も今日はもういいから。各々の場所に戻りなさい」
「はい」

村田先生が校長先生のほうに深く頭を下げた。

「矢沢、教室に戻るぞ」
「えっ？でもっ」