「香川?さっきまで教室にいたけどそういえば見かけ…」

私は文幸の言葉を最後まで聞かずに走り出した。

「一沙!待てよ」

文幸に腕を引っ張られてハッと我に返る。

「落ち着けって!香川が何か関係してるの?」
「…」
「もしかして一沙が最近アイツと仲良くしてたのはこれのせい?」

小さく俯くと文幸がフーッと小さなため息をついた。

「っーかさ、その前にこの写真にびっくりだよ。いつから村ちゃんと?」
「…」
「まあ何か怪しいとは思ってたけど」
「…」
「ごめん。答えなくていいよ」

文幸が俯いたままの私の頭をポンと優しく叩いた。
私の気持ちを落ち着かせるように。
今日は文幸の優しさがいつも以上に身に染みる。