今のは何だったんだろう?
私はすーっと深呼吸をして香川からの電話に出る。

「矢沢さん、例の件まだなの?」

案の定それはテスト問題の件だった。

「やっぱり無理だよ。村田先生にそんな隙ないし」
「どうせまだ本気でやってないんでしょ。私、本当にばら撒くからね」
「…」
「期日は3日後」
「3日後!?」
「もうテストまで時間ないんだから。先生を守りたかったら早めに探ってきて」

香川はそう言って一方的に電話を切ってしまった。


***


「えー…。またダメなの?」
「ごめんっ、麻美!絵梨!!」

カラオケの誘いを断ると、麻美と絵梨は分かりやすく不機嫌な表情になっていった。
私は精一杯2人に手を合わせる仕草をする。