私はとっさに嘘をついた。
多分嘘だってバレバレなんだろうけど。

「そういう風には見えなかったけど。村ちゃんのあんな笑顔初めて見たわ」
「…」
「村ちゃんはやめといたほうがいいぞ」
「え?」

文幸の言葉にドキッとして思わず彼のほうを見上げた。

「いや、だって村ちゃんがお前相手にするわけないし」
「何それー」
「しかも元カノってあの美雪先生だろ」

そういえば噂に聞いたことがある。
村田先生と美雪先生が付き合ってたって。

美雪先生は去年までこの学校にいた家庭科の先生だ。
美人で優しくて非の打ち所がない。
確か先生よりも1歳年上だったはず。

「そりゃあ美雪先生には敵わないけど…」