さすが優等生という立ち振る舞いだ。
先生が信頼しているのも分かる。
例のネタで香川に脅されてます、なんて言っても先生は信じてくれないだろうな。

「矢沢、この間はありがとう」
「へっ?」

油断していたら、ふいにお礼を言われてまぬけな声を出してしまった。
先生は少し照れくさそうに言葉を続ける。

「レシピ。おかげで何とかばあちゃん納得してくれたよ」
「本当?それなら良かった」
「レシピ、丁寧で分かりやすかった」
「でしょ?」
「課題のほうもそれくらい一生懸命やってくれたらな」
「…一言多い」
「はは、悪い。本当にありがとな」

先生は微笑んで私の頭をポンと軽く叩いた。