「きっと大変なことに…」
「分かった!分かったから」
「あ、噂をすれば村田先生」
「!」

香川の声に振り返ると、俯き加減で歩いてくる先生の姿があった。
先生はあまり表情を変えずに私たちのほうに近づいてきた。

「あ、香川。この間の課題よくできてたぞ」
「本当ですか?ありがとうございます」

香川のこのトーンが低くなり、いつもの優等生モードに戻った。
2重人格かよ、とツッコミたくなるほどだ。

「それと、これ部員への連絡事項なんだけど。みんなに渡しといてもらっていい?」
「はい!分かりました」

香川は先生からプリントを受け取って足早に階段を降りていった。