こいつやべぇなと竹中が至極冷静に呟き、清波の外見にうっとりとしていたメンバーはあからさまにガッカリといった落胆の表情を隠しきれていなかった。
そして未だ入部申込用紙を片手に握る新入生たちもお互いちらちらと視線を交わらせている。
「でも今日は帰り道に一緒に寄り道して遊んだあと夕日の河辺でキスする約束したじゃないですか」
「していないし寄り道は禁止だ」
「え、じゃああれは俺の夢?でもどっちにしろ正夢なんで同じことですよね」
「ポジティブだな君は。」
用紙を置いた衝撃で僅かにズレたペンの位置を直しつつ、会長はさりげなくその用紙をとりあげて机の一番下の引き出しにしまう。
そして眼鏡のレンズの奥から大人びた目を覗かせる。
「もう一度言うがとりあえず今は話を進めたいんだ。いいか?後で話は聞いてやる」
「分かりました。でもその代わりその時は密室空間にふたりっきりでお願いしますね」
「断る。」
