そうかい、とまた彼は緩く笑い、私の名を考え始めた。グラスの氷をひとつ、ふたつ回すとこちらを見て、またグラスに視線を戻す。意外と悩んでいるようだ。 「いやあ、そうだなあ、君の事はお姫さんとでも。」 「それはまた大層な。」 明らかなる過大評価に少し気がひける。彼の目には私はそんな風に映っているのだろうか。そんな上等な呼び方される様な人間ではないのだが。