ずっとキミが好きでした。

翌日。








階段を上がりきって、私は後ろに倒れかけた。







なぜなら、









明日音くんが立っていたから。









「よっ」





長い前髪は変わらなかったが、サイドは短く整えられていた。




「どうしたの?」





「何が“どうした”、だよ?いいから早く、例のヤツ。おれ、腹減ってんだよ」





私は手に持っていた紙袋から例のものを急いで取り出し、なぜかピリピリしている明日音くんに手渡した。





「はい、さくらあんぱん」






「サンキュ」




丁寧にお礼を言う明日音くんに少し驚いてまばたきもせず、彼を見ていると「中、入れよ」という無愛想な誘いが来た。



私は遠慮なく入らせてもらうことにした。





年頃の男女が密室空間に二人きり…。



そのことに気づいて唾を呑み込んだのは、入ってから数十秒経ってからだった。