ずっとキミが好きでした。

閉ざされた空間、土の深く深くに眠っていたもぐらが光に当たった。


人工的な光のまぶしさに目を細めた明日音くんは、私が最後に見た明日音くんとあまり変わっていなかった。


少しほっそりして、髪も伸びてはいるが、長くなった前髪の下から覗く瞳は透き通ったままだった。


明日音くんのチャームポイントの左目尻にあるほくろを確認した瞬間、私は胸がいっぱいになった。




明日音くん…お帰り。




理由はどうであれ、地上に戻って来てくれたことが嬉しかった。


私が未確認飛行物体を見てしまったかのようにまじまじと明日音くんを見つめていると、彼が沈黙を破った。







「もう7時だ。風邪引いてんだから帰れ。うつされたら、困る」







実にぶっきらぼうな物言いだったが、私を救ってくれたことに変わりない。


今日のところは何事も無く帰れそうだ。





「明日からは明日音くんの特別待遇は無し!もぐら生活に一区切りついたから、おやつは作らないから」







文句を言われる前に、キッチンで夕飯の支度をしていたおばさんに声を掛け、突風のごとく立ち去った。


濃い藍色の空に灰色の厚い雲がいくつも浮かんでいたが、雲と雲の隙間から、まん丸の月が顔を覗かせていた。













ーーー好き。













その感情は上手く交わらない。