ずっとキミが好きでした。

「ああ…いやあ…、そのう…ーーあっ!そうそう、これこれ!余ったから食べない?」






「は?…ってか、なんか、ばさお、最近変じゃね?なんかあったか?」







「とりあえず、これもらって。ばあちゃんが味見…いや、毒見したけどおいしかったみたいだから、大丈夫。お腹は壊さないと思う」







妙に早口になってしまう。


心をまるっきり取り替えるとこんなにも言動が変わってしまうとは恐ろしい。


私が恐ろしいと感じているのだから、他人にとってはもっと恐ろしいし、違和感を感じるだろう。





気がつくと、明日音くんは私をじっと見つめていた。


明日音くんが初めて私に歌を歌ってくれたあの日以来のことだ。





私は目をそらして、明日音くんにさくらあんぱんの入った紙袋を押し付けた。





「消費期限は明日だから。お腹壊したくなければ早く食べてね」






食べてもらえなくても良い。


半ば諦めて渡した。










いや









そんなの嘘だ。










食べてほしいに決まっている。













祖母の言う、むずがゆしさを感じながら大急ぎで自転車を漕いだ。


真っ赤な夕日は山に隠れ始めていた。