ずっとキミが好きでした。

自転車で3分。


田舎の家は大きいなあと改めて思った。


門構えは立派だし、周りが田んぼなのに庭もあって家庭菜園のための畑もある。


明治後期から代々受け継がれてきた米作りの四代目のどちらが出るのか。


時計をちらりと見ると時刻は午後6時15分。


文化祭で演奏するからその準備に追われてまだ帰って来ていないかもしれない。


でもそれならそれの方が気張らなくて良い。




意を決してインターホンに手を伸ばし、引っ込める。



インターホンをただ押すだけなのに、こんなにも手汗をかいたのはきっと初めてだ。


今までのようにはいかない。


色々頭で考えてしまって心が疲弊している。







今度こそ!






手を伸ばした、








その時だった。








「ばさお、何してんの?」






背後から迫って来たのは、運悪く、明日音くんだった。