ずっとキミが好きでした。

女なのに堂々と女らしく出来ないおれに、少しだけ希望の光が差した。






「翼、今日放課後ヒマ?」




「まあ特に用は無いけど…」




「なら、オレが作った曲聴いてもらっても良い?ラブソングなんだけど、女子の意見も取り入れたいんだ。男だけだと独りよがりの曲になりそうだから」




「わかった。じゃあ、放課後、部室に行く」




「ありがと、翼」






みっくんはおれの頭をポンポンするのを忘れなかった。


お兄ちゃんとして、わがままな弟を何度も宥めてきた大きな手のひら…。


頭に乗る度に心臓が一瞬ドクンと誤作動を起こす。




おれを女の子扱いしてくれる。




そう思いたい。





例えおれの頭にあっすーに乗せていたのと同じ手のひらが乗っていたとしても…。


それが意味することがおれが思うことと違っていてほしい。




騒がしい廊下を渡りながら、女子としての幸せに、胸を躍らせていた。