ずっとキミが好きでした。

土門さんと仲良くすること。




不本意にもそう約束させられたヤツらは、おれに対し、嫌がらせをするのは幾分減った。





しかし、




どうしても“あのこと”だけは、ナシにできなかった。




一日中家にいていおままごとをしていたおれの耳に入って来ていたのは、“おら”という老人の一人称だった。




自然と無意識に身に付けてしまった一人称。







ーーおれ。







これのせいで、同級生からおれが女の子扱いされたことはほとんど無い。


あの時勇気を持ってヤツらに刃向かっていった野中さんさえ、おれを同性の友達として見てくれてはいなかった。


きっと自分の株を少しでもあげるために、ああしたのだろう。







幼いながらにつらかった。



どうしておれだけが苦しまなきゃならないんだよって何度も思った。


ばあちゃんや耀に悟られないように、夜中に家を飛び出して田んぼを眺めながら泣いたこともあった。


ど田舎だから不審者や近所迷惑の心配はなく、気が済むまで泣いた。


どれだけ泣いても状況は一向に変わらなかった。






今もそう。






おれは、女として見られてない。



その事実が、ものすごく苦くて切なくて、胸の奥をジリジリと焦がした。