思ったより仕事が長引いてしまったことに苛立ちが込み上げる。

予定ではもっと早く帰れたはずだが、被疑者逮捕にけっこう時間がかかり、こんな時間になってしまった。

もう時刻は21時を過ぎていて、梨央の様子が気がかりだった。

できるなら今は彼女を1人にさせるのは控えたほうがいい。両親がいない今、彼女が不安な思いをしていないかが心配になり、俺は車のアクセルをふかす。

途中何度か梨央の携帯に連絡を入れたが繋がらず、俺は不思議に思いながらもこの後色々と後悔することになる。


彼女の家につきインターホンを押すと、応答に答えたのは梨央ではなく、何故か彼女の幼馴染の男だった。

そのことに若干不信感を抱きつつも、玄関が開いた瞬間爽やかな笑顔に出迎えられた。


「こんばんは」

「………」


当たり前のように出てきた男に思わず顔をしかめる。

俺はこの時何かを予感したのかもしれない。

彼女が今普通の状態じゃないことを。

ただならぬ状態に変わりつつあることを何となく直感で感じ取った。