「何か怒ってます?」
「怒ってないように見えるか?」
「……」
「まさかこんなに近い距離とはな…。おまけに絵に描いたような好青年じゃねーか」
それは慎ちゃんのこと?
思わず聞き返そうとしたけれど、コウさんの指先が私の顎先を少し強引にグイッと上げた。
そして迫力のあるお顔が近付いてくる。
「いいか、お前は危なっかしいんだよ」
「えっ?」
「あんまりよそ見してると、さすがの俺も強制的にうちに連れて帰るぞ」
何のことやら。
最後の方の呟きにははてなマークが浮かぶばかりだったけど、やっぱり言葉にできない。
「……コウさん?」そう呟きたかったけれど、彼の怖いぐらいの視線がそれを邪魔し、私を不安にさせていく。
「言ってる意味がよく……」
「分からないなら自分でもっと考えろ」
そして唇をゆっくりなぞられる。真っ直ぐ注がれる視線にドキドキする。
思わず見惚れていると、そのまま熱く柔らかいキスが落とされて、目を開けたまま硬直した。
「……んっ…」
たけど彼はそんなのお構い無しに後頭部に手を回してきた。
最初はそっと。だけど次第に何度も啄むようにされれば、思考は揺らぐ。
突然の事態が呑み込めず、目の前の彼の腕を咄嗟に掴んだ私は必死にバランスを保つのがやっとなわけで…。



