私は複雑な表情を浮かべたまま、再びソファーに腰を落とす。
「とりあえず事情は分かりました。話を聞いた限りではまだ犯人が澤田と関係しているのか断定はできませんが、念のためこのまま調べさせてもらってもいいですか?」
「もちろんです。お願いできますか?」
私はコウさんを見た。
真剣な瞳にしっかりとした口調。
頼もしい言葉や態度にホッと気持ちが落ちついていくのが分かる。
それはお母さんも同じのようで、やっと少しだけいつもの柔らかな笑みが表情に浮かぶようになった。
「お願いします」
私も改めて頭を下げるとコウさんが真っ直ぐ私を見た。その眼差しはほのかに柔らかく、ほんのり照れる。
そしてその時、今までずっと私達のやり取りを静かに聞いていた慎ちゃんが突然私の名を呼び、ふいに立ち上がった。
「それじゃあ俺はこれで。今日はもう帰るよ」
「あ…そっか。待って、慎ちゃんもありがとう」
改まってそう言うと、私も同じように立ち上がり慎ちゃんの方へと歩み寄った。
「今日は色々とごめんね。変なことに付き合わせちゃって疲れたでしょ?」
「いや、大丈夫だよ。でも良かったね。彼が来てくれたからもう安心だ。バトンタッチして俺は帰るよ」



