愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。


ふと先日会ったコウさんを思いだしてしまった。

そしてその日、彼がいつも以上に優しかったことを。

彼は自分のマンションに連れていくと、ソファーに座るやいなや私を優しく抱き締めた。

そして息のできない激しいキス。

気付けばベッドに倒されて何度も絡みあって、私に触れる指先は慎重で、だけど驚ほど甘く、まるで溶けてなくなってしまいそうだった。

あんなコウさんは見たことがなく。


「酔ってるの?」


そう聞けば、「お前にな」なんてとびっきり甘い言葉を返されて、私はノックダウン。

その後の記憶は曖昧で、私はただ彼の腕の中で思いっきり甘やかされたことだけは感覚的に覚えてる。


だけど…、

きっとそれは私のせい。

私があの時コウさんに変なことを口走っちゃったのが原因だと思う。

自分でも何であんなことを言っちゃったのか分からない。

人の気持ちが…、本音が分からないだなんて。
そんなのまるでコウさんを信用してませんって言ってるようなものだ。

その証拠にそれを聞いたコウさんの顔は複雑そうに困った顔をしてた。

「どうやったらお前のその歪んだ男の価値観を変えれるんだろうな…」なんてことも呟いて…。


だから言えなかった。

あの時、本当は激しく嫉妬していたことを。

だって凄く綺麗な人だった。

コウさんと並ぶその姿はお似合いで、まるで美男美女のカップルのように見えた。

それを見た瞬間、雷に撃たれたようにショックを受け、気付けばあの場から逃げ出していた。