「じゃあよ、嬢ちゃんはこのままでいいってわけか」
うーん…。
それもなぁ。
煮え切らない思いに言葉を濁す。
「何も解決しないまま、うじうじと此処で一生やけ酒でもするつもかよ」
私は言葉を耳の中に焼き付けながら眉を寄せた。
「確かに真白の今の立場じゃ恋人とゆっくりする時間は限られてるかもしんねぇな。けどよ、我慢し過ぎて自分の気持ちも伝えられないような関係は呆気なく終わるぞ。長くは続かないと思うけどな」
「……」
「無理にいい子ちゃんぶっても何も変わらない。むしろ自分がどんどんしんどくなるだけだ。我慢するのと自分の気持ちを押し殺すのは違うだろ」
それを聞いて不意に私は押し黙る。
今までまともな恋愛をしてこなかった私にはとても胸をかき乱される言葉だった。
けど、けどさ、
私にだって言い分がある。
「お言葉を返すようですけど、男の人って我が儘な女の人って面倒じゃないんですか？」
ちょっと拗ねた言い方になってしまったのは謝ります。
けどさ、少ない経験からして宗一郎さんはそうだったように思う。
だからいつも私は自分の気持ちを押し殺して生きてきた。
彼を怒らせないよう、彼の顔色を伺ってずっと。
まぁね、彼との場合はほとんど恐怖で支配されてたから、例外だと言われたら何も言い返せないけれど…。
