「ほ、本気で言ってるの?」
「冗談でこんなこと言えるわけないだろ」
すると、彼女は缶ビールを持ったま動かなくなってしまった。
みるみるうちに顔が…、いや首まで赤くなっている。
なんとなく予想通りの反応だったけれど、ここまであからさだと逆にこっちまでそれが伝染しそうで怖くなる。
「おい、なにもそこまで狼狽えることでもないだろう」
「だってっ、いきなりすぎですよ。こ、心の準備が…」
今更何の準備だよ。
と心の中で突っ込んだものの、これ以上刺激するのはやめた。
きっと彼女は彼女なりの思いや考えがあるのだろう。
今日はそれを配慮することにして俺はその話題から一旦離れ、残りのおかずを全部食べあげた。
梨央は暫くの間ぎこちない素振りだったが、俺が風呂から出てくるころにはいつもの様子に戻っていた。
そして、すっかりできあがっている。
いったい何本飲んだんだよ。と、思わず突っ込みたかったけれど、ソファーの上で幸せそうにうとうとする姿に何となく口元が緩む。



