side (げん)


とある日、馴染みのあるバーにて。


「ーそう言えば、真白とはあれから会ったんですか?」

この店には沢山の人達が出入りをする。
それは日によって数もバラバラだが、刑事の仕事を脱サラし、ほぼ趣味なような感覚で始めたお店なため、ここに訪れる半数以上は知り合いや馴染みのある顔触ればかりだが、最近になって物珍しい人物が俺の前に現れた。

カウンター越しに座り、なに食わぬ顔をしてウイスキーを嗜む姿に俺はやっぱり気が気じゃない。物珍しさを隠しながら問いかける。

「ああ、あれからすぐにな。わたしが少しメーセージを残したら血相を変えて飛んできたよ」

「…たく、あなたも人が悪い。先日俺の前に現れた時はハッとして心臓が止まりそうになりましたよ」

「くっ…」と笑いを堪える仕草を見せた(じょう)さんに俺は苦笑い。
真白丈二(ましろじょうじ)、彼とは昔俺が刑事の駆け出しだった頃一緒に仕事をしていた3年先輩の相棒だが、お互いの役職が代わって以来会うのは久しぶり。
随分貴重な再会になる。