「…梨……」

それがまた絶妙で言葉にするのも難しい。
いつの間にこんな技を習得したのかと思いながらも俺の中でスイッチが入る。流されるまま、梨央の服を脱がしにかかると目の前の体がピクリと震える。
胸元のボタンを外し、下着に手をかけたところでようやく梨央が唇を離す。

「ぎゃ、逆プロポーズ上等ですっ」

「……」

「わたしの方こそ逃がしませんっ」

息を乱し、肩で呼吸をする姿がやたら淫らでゾクリとする。
顔を真っ赤にして言われても可愛いだけで、余計俺の理性を壊すだけなのに、そんな必死に言われたら自然と笑みが漏れる。

「その宣戦布告受けて立つ」

この無自覚小悪魔が…
だから俺も負けじと梨央の言葉に乗っかかり、目の前の頬に手を添えた。

「上等だ。逃げねーから安心して俺の嫁になればいい」

それがいつなのか。
1年後2年後3年後、梨央のペースで待つ覚悟はとっくの前からできている。
だから安心して俺の隣にいればいいと本気で思う。

本当に不思議な縁だが、この先のことを思うと柄にもなく楽しみが増える。
まずはどんな顔して彼女は俺の両親に会うのかとか。
親父の正体を知った彼女はどんな風に驚くのかだろうかと。
その日まで梨央には秘密にしようと企むが、そんな俺を梨央は怒るだろうか?
だとしても、

「その日が来るのが楽しみだ」

「コウさ…」

「とりあえず今はお前からキスしろ。癖になりそうだ。ほら早く」


「なっ…」と驚いた梨央にほくそ笑む。

まぁ、それはまた別の話しとして楽しみにとっておく、のも悪くない。






「秘密のおじ様編」END
Next→次のページよりある人達の小話になります。