逆にこえーよ。
そう思いながらお袋から視線をそらす。
「ま、ぼちぼちなんじゃね?」
「ぼちぼちって、今あなた幾つになったの?」
「…35だけど」
「いい年じゃない。もっと今後の自分の人生も考えなきゃダメよ。仕事だけが全てじゃないんだから。色々と~」
またしても意味深く言われて言葉に詰まる。その色々との5文字にどんな思惑が含まれてるのが分かるため、自然と眉が中心に寄る。
頭が痛くなるような探り合いにひきつった顔を向けるが、お袋は知らん顔。仕舞いには来月お袋と親父の結婚記念日なんだと訳の分からないことを言って俺を再び黙らせる。
「5日でね、記念すべき40周年なの。もちろんお祝いしてくれるわよね?」
「……」
「この前裕一にも連絡したの。そしたら喜んでお祝いしてくれるって。そうそう、その時に今お付き合いしてる彼女も一緒に連れて来るって言ってたわ」
「……」
ピクリと反応する。裕一とは4つ下の俺の弟だ。裕一ともここ最近会っていないがあいつはあいつで検事として忙しく頑張ってるはず。
いつの間にそんな話しになったのか。
この様子だとお袋から詰め寄っただろうことは安易に想像はできるが、やっぱり返答に困る。



