見るとA4サイズの大きさの袋に何やらアルバムのようなものが沢山入ってる。
それにもまた怪訝な顔を向ける。
「…なんだよ…」
「全てお前のお見合い相手の写真だ。ざっと10人ぐらいだったかな。この2、3カ月ほどでお前とお見合いしたいと頼まれた数だ」
「…は?」
それも弁護士や代議士、おまけに官房長官の娘だと聞いた直後俺は表情を失くす。
「…まさか…」
「もちろん全て断っておいたがな」
「…え?」
「当たり前だろう。梨央さんがいるんだからわざわざ見合いなんかする必要ないだろう。実際彼女と話したがいい子じゃないか。面白い子だ。正直お前には勿体ないぐらいにな」
ふっと笑われ不覚にも返事ができなかった。もしかすると、このこともあって親父は直接梨央と接触する気になったんじゃないかと直感で思う。
梨央の人柄を見るために…
「で、梨央といったい何を話したんだよ…」
「それはお前には言わん。秘密だ。母さんにはそれとなく話したがな」
意味深に濁され面白くない。結局俺だけ仲間はずれかよ。と、半ばあきれ気味にため息を吐くと、親父のいつになく機嫌のいい声が飛んでくる。



