(Side晃一)
翌日、俺は仕事が終わるとすぐにある場所へと向かった。ここ何年か忙しくて顔を出してなかった俺の実家。
俺は迷わず親父の書斎に向かうと少し苛立ちを抱えながらドアをノックする。
「晃一か」
「入るぞ」
涼しい顔をして椅子に座る姿を見るなりろくに挨拶もせず俺は1枚の紙切れを付き出した。親父はそれに気付くなりあっけらかんと口を開く。
「久しぶりだな。待ってたよ」
やたらにこやかなのが腹が立つ。いったい何を考えてこんな手の込んだことを。いや、何か企みがあってしたのは明らかだが、こんなやり方は気に入らない。
「これは何の小細工だよ」
紙切れの内容、それは「明日の夜、自宅の書斎にて待つ。J」だった。
Jとは親父のイニシャルの頭文字を表している。
真白丈二。それが俺の親父の名前。
これが昨日梨央に渡されたスーツの上着ポケットに入っているのに気が付いた俺は驚いたがすぐにピントきた。



