「さすがですね。ちなみにそれはどんな手掛かりですか？」
「さあな。それよりも梨央、お前はもっと警戒心をもって行動しろ。俺の心臓がもたないから」
「えっ」
「あんまり心配かけないでくれ。頼むから」
いつの間にか側にいたコウさんに抱き締められた。
不意打ちに力強く抱きすくめられた私は思わず言葉をなくしたけど、懲りずにまた心配をかけてしまったことに申し訳なさが込み上げる。
「ごめんね、出来の悪い彼女で…」
「まったくだ。と言いたいところだけど、梨央は梨央のままでいてくれたらいい」
「それって…」
「そのままのお前に惚れてる」
そう言われて赤面する。急に心臓も騒がしくなってそれを隠すようにぎゅっと抱き締め返すと彼の優しい声が。
「絡まれた男に何もされなかったか？」
コクリ頷くと安堵したようにコウさんの温かな手が私の頭を撫でる。その仕草にとても彼からの愛情を感じる。
コウさんはそれ以上何も言わなかったけど、その後交わした深いキスに心も体も満たされた。
