愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。


はっはっは、と笑いが飛んだ。
ジョウさんが豪快に笑って私を見る。それには一瞬驚いたけど、それで一気に場の空気が和む。

「ヤクザですか、彼はそんなに無愛想なのかい?」
「はい、とても。いっつも眉間に皺が寄ってるんです。ほらこんな風に」

「はは、それは確かに怖い」

「本当ですよ」

「でも、そんなに怖いのに嫌になったりしないのかい?」

その問いかけにえ?とジョウさんを見つめたけれど、私はすぐに顔を横に振った。

「それは…残念ながらないです。だって彼には感謝しかないんです。それにここだけの話かっこいいんですよ」

けなしといてあれだけど、コウさんのことを思い出すとやっぱり頬が緩む。

「それは外見が、かね?」

「あ…いえ、はい。外見もですがそれ以上に中身がすごくかっこよくて。私なんかじゃ真似できないぐらい器が大きくて、優しいんです」

「ほう」

「彼は決して自分の信念を曲げたりしない。自分が信じた道を真っ直ぐ貫ける人です。助けを求められたら迷わず困ってる人に手を差しのべるし、最後までちゃんと守ってくれる。そんな彼に何度も助けられたんです」

宗一郎さんとのことを思い出し、切なさと嬉しさが込み上げる。
あの時コウさんに出会えてなかったら今の私はいない。今もずっと感謝でいっぱいだ。