そう思ってたのだけど、家に着くまでの間、ジョウさんの方から色んな話をしをしてくれた。
ジョウさんには2人の息子さんがいること。
2人とも家を出て社会人として働いてるそうで、あまり会えていないこと。
それに奥様が絶望的な味音痴なこと。だから料理は任せられないみたいで毎日お手伝いさんに作ってもらってること。
「ああ、でも一つだけ、家内が作る生姜焼だけは絶品でね。毎年私の誕生日に必ず作ってくれるんですよ」
「へー生姜焼ですか」
「恥ずかしながら私の好物でね」
「それは羨ましい。愛ですね~」
しみじみと語ってほっこりする。
そんなエピソードに心が和む。だから自然と私も身の上話を口にしていた。
弦さんのお店によく行くこと。
栄養士を目指してること。
妹がいること、そして前にも話したけど年上の恋人がいること。
コウさんのことを話すととても興味深く聞いてくれた。
「彼は警察にお勤めですか。それは心強い」
「ええ、とても。あ、でも最初会った時は全くそんな風には見えなかったんですけどね」
「それは何故?」
「だってすごく愛想が悪かったんですもん。いつも仏頂面で、言葉遣いも悪いし。最初こそどこぞのヤクザかと思いましたよ」



