「最近の若い奴らは目上の人に対する態度がなってないようだな」
「え?」
「困ったもんだ。でもお嬢さんが無事でなにより。本当に良かった」
一瞬鋭い雰囲気を感じたものの、私に視線を向けられた瞬間とても柔らかなものになった。
「悪かったね、咄嗟の対応とはいえあなたのことを娘だなんて言ってしまって。嫌な気分にならなかったかい?」
「いえ、とんでもない。おかげで助かりました。ありがとうございます」
「いや、困った時はお互い様ですよ。あなたには以前助けて貰った恩がある。こうして恩を返せて良かったですよ」
そこまで言い、おじ様の表情がスッと曇る。
「でもこれからは気を付けた方がいい。この辺の路地は表通りと違って今みたいな柄の悪い連中が沢山いるからね。今後はこの道は使わない方が賢明だよ」
「…あ、はい。そうします」
そうだった。
コウさんにも前に同じようなことを言われたんだった。
注意されてたのにすっかり忘れてた。
慌ててたとはいえ自分の選択ミスにガックリ項垂れる。と、次の瞬間バサリと私の肩に何かがかけられた。



