愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。


「私の娘に何か?」

……え?

その声には聞き覚えがあった。声のした方に振り向くと、「あっ」と思わず声が出るほどの人物が…

「すまないがその手を解いてくれないか」

おじ様だ。
それは3日前私が助けたおじ様だった。
上下グレーのスーツを身に纏ったおじ様は凛とした立ち振舞いで私の前に立ち止まる。
そしてもう1人、おじ様の後ろに中年の男の人もいた。

それを見た瞬間安堵の感情が沸き上がる。正直恐かった。このまま強引に連れていかれたらどうしようと思ったから。
だから再び「その手を解いてくれないか」と予想もしない低い声をおじ様の口から聞いた時、思わずドキッとした。
以前会った時よりも随分と雰囲気が違う。

それは2人組の男達も同じだったようで、一瞬怯んだあとすぐに私の手は解放された。

「ちっ、本当に待ち合わせだったのかよ」

納得いかなさそうな声で金髪頭の方が悔し紛れに呟いた。
私達をバカにしたように睨む。

「あんた、可愛い顔してパパ活なんてしてんだ?」

「は?」

「なかなかやるね~」

「はぁ!?」

聞き捨てならない言葉に面食らったが、赤髪の男がおじ様めがけてさらに暴言を吐く。

「俺らより老いぼれのおっさんのが元気ってか。まぁせいぜい頑張れよ」

諦めたのか案外あっさりと去ってく。
ホッとたのも束の間、隣に立つおじ様からまたしても低い声で意外なお言葉が。