「テレビより私を見ろってか?」
「まさかっ…!」
そんな痛いことは言いません。
さすがに思いませんよ。
コウさんはいったい私のことをどんな風に見てるんだろう…?
そんな気持ちを込めてムスッと顔を向けたけれど、コウさんは素知らぬ顔。やたら面白ろそうに顔を近付けてくる。
「お前を見てると飽きねぇよ」
「それって誉めてます?」
「一応な」
お互い見つめ合うと、急に甘い雰囲気が舞い降りてきた気がするのはきっと気のせいじゃないよね?
それを確信するようにコウさんの手がこめかみに向かって流れてきて、髪の毛を耳にかけられる。
その仕草が実に優雅で思わず見惚れてしまうほど。
「梨央、お前って首筋弱いだろ?」
「そんなこと……っ」
あるけど…。
悔しいから認めたくない。
「そんな風に見えます?」
「試してやろうか?」
言いきる前にコウさんの指先が首筋に滑り落ちてきた。
あっと思ったときにはすでに遅し、彼の指先が上から擽るように触れてくる。



