コウさんの瞳が猛獣のようにギラリとしたものに変わっていた。


確かに、初めは慎ちゃんを思っての涙だったことは否定しない。だけど途中からはコウさんの力強い言葉と優しさに胸を撃たれ、いつの間にかそれに対しての涙に変わっていた。

だからこれはコウさんを思っての涙だと言っても過言じゃない。

だけれど、そんな胸の内は彼には分からない。

まるで独占欲を剥き出しにしたような強いオーラを目の前にして、私は小動物になったようにビクビクと身震いをする。

それでも「ちがうっ」と言った精一杯の否定は彼にとってはただの言い訳にしか聞こえなかったようで、私の抵抗を奪ったあと、有無を言わせず強引に唇を塞がれた。



「…んっ……」


彼の唇は驚くほど熱に浮かされていた。

何度も何度も角度を変えられれば、頭の中はすぐにコウさんのことでいっぱいなる。

それを狙ったかのように口内に舌が滑り込まされると、あっという間に理性は破壊への道を突き進む。


「…コウさっ……」

「お前は俺だけを見てればいい」


こんなにも嫉妬に狂ったコウさんは見たことがない。


……て、……これは嫉妬?

慎ちゃんへの嫉妬なの?

そう気付かされた私はハッとし、たまらずコウさんの胸元を押し返す。