「あの…、急に呼び出したことは怒ってない……の?」
恐る恐る声に出せば、返ってきたのはやっぱり予想外の言葉。
「怒るもなにもちょうど俺も仕事が一段落して梨央に連絡しようとしてたとこだ。もしお前から連絡がなくてもたぶん俺からしてたよ」
その言葉にパァっと花ひらく。
そうだったの!
あまりの嬉しさにさっきまでの重い気持ちが嘘みたいに軽くなる。
「会いたいならちゃんと言えばいい」
「コウさ……」
「こんな回りくどいやり方じゃなくてもっと普通にな」
………と、喜んだのもつかの間、コウさんの鋭い視線が飛んできて私は再び固まった。
「…もしかして、全部お見通しなんですか?」
「さぁな」
ははっと乾いた声が落ちる。
やっぱりコウさんには敵わないや。
私なんかよりも1枚も2枚も、いいや10枚ほど上手のようだ。
それから特に険悪になることもなく、コウさんのマンションに連れていかれた私はお腹がペコペコだというコウさんのためにご飯を作った。
一緒にご飯を食べて、その後はソファーでゆっくりくつろいだ。
チラッと隣に座る彼の横顔を見ると、そこには真剣にテレビを見るクールビューティーな横顔が……、
不覚にもドキッとさせられる。



