「今回の悲劇は全部あんたが巻いた種だ。あんたが中途半端に彼女を受け入れたのがそもそもの原因だろ」
重みのあるしっかりとした声が耳の中の鼓膜を震わせた。
やっぱりコウさんは全て分かってる。
慎ちゃんの思いも何もかも…
「そんな中途半端なお前が梨央の側にいる資格はない。これ以上こいつの気持ちをかき乱すことはやめろ」
それはまるで私にはもう関わるなと忠告しているようだった。
コウさんの言葉の語尾が強くなるたび、彼の独占欲のような思いを強く感じる。
慎ちゃんはそれを聞いてやっぱり押しだまったままだった。
今どんな顔をしてるのか気になったけれど、コウさんに強くだきしめられてるせいでそれを確認することはできない。
「何か反論があるなら聞いてやるけど?」
「…いや……」
慎ちゃんの声が静かに落とされる。
きっとコウさんの言葉は間違っていない。
そう思うからこそ慎ちゃんも何も反論しない。何も言えないのかもしれない。



