そして由香さんはそんな慎ちゃんに反抗するよう、尚も私に酷い言葉で追い討ちをかける。
「あなたさえいなかったら…
あなたさえいなかったこんなことにはならなかったのにっ」
涙ながらに私を非難した。
これにはさすがの私もグサッと心が傷付いた。
まるで私の存在の全てを否定されてるようで。
それを見た慎ちゃんの顔も次第に険しさを増し、今日見た中で一番の冷ややかなものに変わるのを見逃さなかった。
「…由香…、最低だな。君には失望したよ。そんなくだらないことを言う人だとは思わなかった」
少しの沈黙のあと、慎ちゃんが再び彼女を軽蔑するように口を開いた。
それに対して由香さんはくっと顔を歪め、ショックを受けたように下唇を噛み締める。
きっと彼女も本心では分かってる。
こんな事をしたところで何も解決しないことを…。
痛みはさらに増すばかりで、余計自分を追い詰めることも。
だけど慎ちゃんが私を庇うたび、きっと彼女の憎しみは強くなる一方で止まることはない。
「真白さんもういいです。こいつとは何も話すことはない。今すぐ警察の方へ連れて行ってください」
コウさんはやっぱり何も言わなかった。
ただ真っ直ぐ慎ちゃんを見つめ、少しの間怖いぐらいの沈黙を保っていたけれど、
だけどその時……、そんな空気をぶち壊すように突然インターホンが鳴った。
続けざま「お邪魔しますよー」と聞きなれた声が聞こえ、私はハッと後ろに振り返る。



