衝撃的な内容に私は目を見開き、自分の耳を疑った。
思わず慎ちゃんを見たけれど、彼はその事には何も反論せず、気まずそうに視線を反らし、私と目を合わせようとしない。
だって、まさか…
「……本当、なの?」
「冗談だったらこんな展開になっていないわよっ」
「…ふざけるな、それでもいいって言ったのはお前だろ?」
慎ちゃんが聞いたこともないような低い声をあげた。
感情的に怒鳴る仕草は少し和らいだように見えるけど、逆に由香さんに向ける視線の冷たさはひどく凍りそうなほど。
「それなのに、何を今更…。俺は最初に言ったはずだよな?他に好きな奴がいるって。それでもいいから結婚してほしいって泣きついてきたのは誰だよ。由香の方だろ?」
「……それでもっ……」
こんどは由香さんの方が途中で言葉を詰まらせた。
悔しそうに顔を歪め、両方の瞳からポロポロと涙を流しだす。
きっとその事を思い出してるのかもしれない。直感的にそう思った。
彼女は苦しそうに眉を寄せ、
そして涙ながらにこう言った。
「それでも、いつか私のことをちゃんと好きになってくれる日がくると信じてた。私だけを見てくれる日がくるんじゃないかとずっと信じてたのっ!」



