私が扉を開けるとそこには異様な光景が広がっていた。
そしてすぐ3人分の視線が私へとそそがれる。
床には観葉植物が倒れていて、他にも棚に飾ってあった写真立てや花瓶が床に落ちて割れていて、とても普通とは言えない状況だった。
むしろ争ったような、一悶着あった光景を目の当たりにした私はただ唖然として目を大きく見開いた。
「…あ、の……」
思うように言葉が出てこない。
コウさんを見るとあからさまに険しい顔をしているし。
それよりまず、その女性は誰ですか?
まったく見覚えのない女の人。
その人は背中までの長い髪が乱れ、呼吸を乱していて、何故かコウさんに拘束されるように後ろ手にガッチリ腕を捕まれている。
年は20代後半と言ったところだろうか?
そして私と目が合うやいなや、キッと刺すような鋭い睨みを向けてくる。
その怖さにギョッと体が強張った。
「…コウさ……」
「梨央ごめん!」
すると、突然慎ちゃんが頭を下げ謝った。
訳が分からず、驚きながらも放心していると、続けざまに慎ちゃんの声が切羽つまったような申し訳ないものに変わる。



