「だったら隣に入れてくれよ」
俺は立ち上がり、梨央がかけてくれただろう毛布をその場で畳むと、強引にベッドへと入り込もうとする。
「…ちょっ……」
「この際二人で仲良く温まればいい」
梨央を壁際に寄せ、俺は隣に滑り込む。
少しビクつく梨央を無視し、俺はとりあえずスーツの上着を脱ぎ、締めたままだったネクタイを緩めて引き抜いた。
「せ、狭いですよっ」
案の定慌てふためく梨央が面白い。
べつに一緒に寝るぐらい今更どうだっていうんだと思ったが、環境が変わると彼女はどうも落ち着かないらしい。
「この前みたいに下に布団を敷いて寝た方がいいですよ」
「面倒だからいい」
「でも、今私にくっついたら危険ですって」
「そんなにやわじゃねーよ」
俺を誰だと思ってる。というような視線を向けると梨央が一瞬困り顔で押し黙る。
「もうそんな気遣いはいいから、今は自分の心配だけしてろ」



