果たして俺は本当に彼女に必要とされているのだろうか?
ふと、らしくない思いが横切り、撫でていた指を止める。
彼女はどこか俺に遠慮をしているし、普段どうでもいいことはズバズバ言うくせに、いざ肝心なことになると何も言わず内に秘めてしまう。
だからこそ難しい。
表面だけじゃない。本当の意味でもっと深く俺に甘えてもらえるにはどうしたらいいのだろうか?
「梨央……」
女の名前一つ呼ぶのにこんなに愛しさを感じたことはない。
彼女の一つ一つの表情や仕草が俺を驚くほど癒し、満たしてくれる。
だからこそ俺にもっと頼ってほしい。
他の誰でもない俺に心を開いてほしい。
俺だってあの男と一緒だ。
梨央が可愛くて仕方がないという気持ちは誤魔化しきれないほど育ってる。
いつの間にこんな風に世界は変わってしまったのだろう?
仕事以上に大切だと思える存在に出会えた時、こんなにも世界が温かく見えるということを初めて知った。
俺は梨央の寝顔を見つめながらある決心を固めていた。
それは今まで悩んでたものが全て吹き飛ぶような決断で、ただ彼女の笑顔を守りたい。
そんな強い決意の現れだった。



