「それにしても、リョーコどん。少し太ったのではないでごわすか? 顔にエラが張ってるでごわす」

「なにいってんのよ、ヒロシほどじゃないわ」

「それもそうでごわすな、ガッハッハ」

「えへへへ……」


ヒロシは婚約指輪を取り出した。


「リョーコどん。おいどん、夢を叶えた暁には、リョーコどんに求婚しようと思っとったでごわす」

「えっ」

「リョーコどん、おいどんと結婚して欲しいでごわす」

「そ、それは……」


あたしは戸惑った。

あたしはカオルに捨てられた。

でも、あたしの中では、まだ、カオルのことが……


「分かっているでごわす」


ヒロシは指輪をしまった。


「リョーコどんの中には、まだカオルどんがいるでごわす。おいどん、いつまでも待つでごわす」

「………………」

「リョーコどんが、おいどんのことだけを想うようになったとき、改めて、受け取って欲しいでごわす」

「ありがとう、ヒロシ……」

「どすこい、どすこい」

ヒロシの優しさに改めて気付き、あたしの両目から涙がこぼれた。

あたしはヒロシとセックスをした。