「ほらよ、こいつも食えよ」


といって、カオルはあたしにぴちぴちのうなぎを手渡した。

とても活きが良かった。


「踊り食いしてみろ。うめえぞ」


あたしはカオルと一緒に並んで、夕日を見ながらウナギを食べた。

蒲焼きにしなくても、やっぱりウナギは美味しかった。

ちょっと泥臭いのも、風味だよね。


「カオルって、どうしてそんなに仏教に詳しいの?」

「大学で習っただけさ」

「え? 大学行ってたの?」


びっくりした。第一次産業従事者なんて、みんな中卒だと思っていた。


「どこの大学?」

「東大」

「うそだあ」

「別に信じなくてもいいさ」

「ううん、信じる」


カオルが東大出だと聞いて、あたしはますますカオルのことが好きになった。