だれかに見られていなければいいけれど。


すっかり空いた私の心の穴が、じわじわと埋まっていく感じがする。

陽太の優しさに触れるとまるで魔法のようにあったかくなって。


こんなのも初めてだった。


人と関わることを恐れて信じることをせずに生きてきた私だから、この瞬間はとても大切だった。



いつかこんな日が来ることを夢に見ていたわけではない。
誰にも後ろ指をさされることなく、ただ静かに生きたかった。


だけどこんなあたたかさを知ってしまったから、もう辛い過去を思い出したくはない。