それだけで何だか勇気が出るの。 与えてくれた優しさを、大事にしなければ。 私の番が回ってきた。 静かに席を立つ。 「山本莉々奈です…よろしくお願いします」 前を向いた。 俯いて、髪で顔を隠そうとしなかった。 たったそれだけでも、私の中では大きな変化。 誰かが待ってくれている。 必要としてくれている。 友達だと、笑ってくれる。 だから、前を向いた。