「顔上げなよ」 何歩か後に下がって、莉々奈の顔を覗き込む。 すると、彼女はゆっくりと顔を上げた。 また目には涙が浮かんでいるように見えた。 何かあるのだろうか。 あるのだろう。 気になるし、できることなら話を聞いてあげたい。 だけど、まだそんなに踏みこんではいけない気がした。 少し微笑んで、莉々奈は 「ありがとう」 と言った。 俺が待ってたことに、気付いたのかな。