この1日で、たくさんのことがあった。


まだ数時間前のことなんだな、出会ったのも、友達になったのも。


ココアを飲み干して私の分までゴミ箱に捨ててくれる彼の背中を見て、少し微笑む。


夕日が出る頃になり、私達は家に帰ることにした。


本当はあんな家に帰りたくないけれど、言えるはずもなく。



ただ赤く染まった坂道を、二人並んで、他愛ない話をしながら歩いた。


陽太の家は学校から歩いて帰れる距離らしく、私は電車で一時間かかる場所まで登校していると言うと、心底驚いていた。


駅の前で別れを告げ、一人に戻ると、寂しくて。



後ろから彼が追ってきてくれないかと、後ろを振り返ってしまった。